けんみん文化祭ひろしま’09文芸祭合同大会
トップページ 事業概要 けんみん文化祭ひろしま・文芸祭合同大会 入賞・入選作品発表 【川柳】角本華峰 選

【川柳】題「響く」 角本華峰 選


※コンピューター環境で表示するため横書き表記としています。ご了承ください。

【特選】

作品 地域 お名前
よく笑う花と余生を響き合う 東広島市 増田マスヱ
【評】「よく笑う花」は最愛のひとであろう。「響き合う」が生き生きと感じられる至福に富んだ見事な佳品。
折々に父の残響母の残響 広島市 小松 好子
【評】亡き父母の「残響」に、「残像」をこえた追慕の念が窺われる。リフレインによる情感の昂揚に共振させられた。
忙中閑いのちへ響く虫の声 呉市 平井みずき
【評】甲冑を脱ぎほっと一息、仰臥の耳に聴こえてくるのは虫たちの声「いのち」にしみじみと響く。無常観に魅せられた。
胎の子がビンビン響く母になる 竹原市 土井 輝恵
【評】声喩は感性のレトリックと云はれているが、この句の「ビンビン響く」も強烈に読者に迫ってくる。感動を受けた力作。
大地へと響く樹齢の音がする 庄原市 安藤 幸江
【評】屋久杉を彷彿させる雄大さがこの句にはある。それはまさに老雄にも似たり、踏み締めている大地は微動だにしない。

【入選】

作品 地域 お名前
耳鳴りのあれは軍靴の響く音 広島市 津村 明正
尾道は直哉芙美子の聞いた鐘 広島市 堀川禾絵子
D51の余韻が耳朶にある昭和 呉市 三谷  登
伝説の音色が響く深い森 竹原市 古谷 節夫
涅槃図の奥から響く母の鈴 三原市 堀家みち子
梵鐘の余韻嫋嫋あの寺だ 広島市 齊藤 幸八
ひたすらに鈴響かせてゆく遍路 呉市 天野 弘士
思い込み捨てると澄んだ音になる 広島市 沖野佐和子
野仏と響き合うてる虫しぐれ 三次市 佐藤 昌樹
残響を辿れば過去がまた疼く 広島市 吉川 一郎
慰霊碑にほづつの響き聞かせまじ 広島市 藤川 幻詩
母の駅ローカル線の響きあり 廿日市市 石川 ゆう
ルビー婚やっと揃って来た響き 竹原市 若年 幸子
人生の汽笛が響く旅半ば 尾道市 小川 道子
ポケットに小銭じゃらじゃら宿がない 広島市 浅原志ん洋
ヘルパーの誠意響かぬ訳がない 広島市 畑垣よみこ
生き生きと手語の会話が響き合う 竹原市 松田 栄香
子を叱るきっと響くと信じてる 尾道市 笠井奈那美
ケイタイが孫の産声響かせる 府中市 田附 京子
ありがとう人と人とが響き合う 尾道市 村上 和子