けんみん文化祭ひろしま’09文芸祭合同大会
トップページ 事業概要 けんみん文化祭ひろしま・文芸祭合同大会 入賞・入選作品発表 【俳句】和田照海 選

【俳句】和田照海 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
ふうせんがはなれてわたし小さくなる 福山市立内浦小学校六年 兼田 真衣
【評】この句のよさは、離れたふうせんが小さくなることを、「わたしが小さくなる」と、ふうせんから見たところ。
おとうとが子がめのようにはっている 尾道市立吉和小学校二年 杉森 成貴
【評】かわいいおとうとをよく見ている。そのおとうとを「子がめのように」とたとえたひょうげんがよい。
日焼け父魚のにおいの漁帰り 福山市立走島中学校二年 村上 昌吾
【評】漁師を父にもつ作者の素直な句。元気で働く姿に尊敬し、感謝の心が伝わってくる。
テストの点完膚なきまで梅雨湿り 県立尾道北高等学校一年 森山 芽依
【評】テストの点数が予想外に悪い結果に終った。それはすべて自分の責任だと率直に認めている。
かき氷色とりどりの富士の山 福山市立城南中学校三年 槙本 紗也
【評】富士山のようにもられたかき氷の山。そのいただきにイチゴやレモン水をかけた。すなおなとらえ方がよい。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
パンツのあとぬいでもぬげぬ日焼けあと 世羅町立せらにし小学校六年 重森 大輔
島の夏漁師の父の自慢肌 福山市立走島中学校三年 村上恵里奈
払腰ひえた畳に響く音 福山市立加茂中学校三年 杉原 勇貴
たいひらめ魚のほう流あおいなみ 福山市立内浦小学校三年 兼田晃太朗
担任はだれになるかな春の空 世羅町立せらにし小学校五年 原  夏美
日焼けした足は努力の証かな 庄原市立高野中学校三年 岩本 有加
とうもろこし命のつぶが輝けり 尾道市立吉和小学校五年 岸野きらら
カイコがね「八」の字書いて糸をはく 世羅町立甲山小学校三年 竹村  豪
初夏の朝本能寺へ行く大行列 東広島市立平岩小学校六年 山崎 龍太
更衣学校中が白一色 東広島市立八本松中学校一年 原田 清花
つばめの子大きな口で夏を待つ 大崎上島町立大崎上島中学校三年 川本  誠
白百合やトランペットの音楽隊 世羅町立せらにし小学校五年 石橋 夏海
五月晴れつなげるバトンかがやいて 東広島市立平岩小学校四年 尾崎 孝汰
湾内にちりめん漁の大漁船 福山市立走島中学校二年 高橋 昌展
涼風がめくってくれる詩集かな 県立尾道北高等学校一年 中村 思真
あさがおにラジオたいそういってきます 三次市立仁賀小学校一年 藤川 宙瑠
ぬるぬるとしたよおおきなあゆのおなか 三次市立川地小学校一年 田中賀菜衣
ありがとう素直に言えるバラの町 銀河学院高等学校一年 大橋 春菜
一人居てアルタイル探す夏の夜 銀河学院高等学校二年 岡田 麻奈
夏休みせみが私をくるわせる 三次市立君田中学校三年 梶原奈津美

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
自転車を降りて黙祷原爆忌 広島市 岡アカツエ
【評】原爆投下のその時刻が来ると一斉にサイレンや鐘が鳴る。「自転車を降りて」という措辞が人の心を打つ。
秋澄むや切れ味のよき花鋏 福山市 三島 敏恵
【評】さわやかに澄みわたる日和。花を生ける作者の透徹した心が花鋏に伝わる。以心伝心の切れ味である。
頭牛六代目とや花田植 福山市 石井 一石
【評】花田植の主役の飾り牛。その先頭をつとめる牛を育ててきた。六代目の艶やかな自慢の牛である。
秋天に棒高跳のとどまれり 尾道市 大西 昭治
【評】棒のしなりを生かして、鳥人のように高いバーに挑む。その頂点の一瞬を見事に切り取った句である。
コスモスの百万本にはぐれけり 福山市 岡ア  鈴
【評】乱れ咲く百万本の秋桜。あまりの美しさに迷いこむ。気がつけば仲間を見失ってしまった。楽しい句である。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
老兵は生きてひたすら大昼寝 広島市 林 たかし
綿虫のあまた漂ひぶつからず 広島市 片岡 正人
夕菅や小さき煮炊きの湯治宿 三次市 佐藤 昌樹
雲動くまで帆をあげて海は夏 福山市 亀井 福恵
昭和史の深き闇より鉦叩 廿日市市 矢野 智司
かさねゆく年を豊かに星まつる 福山市 渡辺 節子
帰省子に電子メールの追ふて来る 安芸郡府中町 大久保信子
擦り減りし蔵の引戸や燕来る 広島市 三澤  豊
虫ぎらひを泣かせてしまひ兜虫 福山市 山口つねみ
星一つ在るを恃みて夜干梅 庄原市 池上恵美子
夏草や兵を運びし宇品線 広島市 折田 英彩
手裏剣の飛んで来さうな芒原 広島市 松原 英明
語り部の汗に原爆ドームかな 呉市 加藤  浩
米櫃に米を満たせり今朝の秋 広島市 亀井 朝子
夜濯をして早発ちに備へたる 福山市 木村 茂代
黙祷の背な老いにけり広島忌 庄原市 樋口津由子
永らへて今日を愉快と紅葉狩 呉市 塩家 千佳
枯れススキおやじは青いままで逝き 竹原市 栄谷 和則
かなかなや廃位の皇のかくれ里 府中市 背尾 則子
ひたひたと月の上げ潮磯馴松 呉市 高村  弘