けんみん文化祭ひろしま’13文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま’13文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【俳句】竹下陶子 選

【俳句】竹下陶子 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
うぐいすが入学いわうよホーホケキョ 坂町立横浜小学校二年 船田 龍斗
【評】入学式の朝からうぐいすが、お祝いをしてくれるように美しい声でないてくれる。まちにまったうれしい朝ですね。
朝顔に口笛ヒューと日曜日 府中市立国府小学校五年 後藤 玲音
【評】大事に育てた朝顔が美しい色にさいている。「やったー!」という心で、口笛を「ヒュー」と思わず吹いた。
海びらきちぎょのほうりゅう二千びき 福山市立内浦小学校二年 上野菜奈子
【評】海水浴場オープンすることを「海びらき」と言っている。そのイベントに二千匹のちぎょがほうりゅうしたかんどう。
しまなみの夜空をかざる花火かな 福山市立千年中学校三年 村上 周作
【評】尾道か因島の花火大会であろう。「しまなみかいどう」をかざる大花火に、ほこらしくあおぐ心が見えている。
こいのぼり泳げや泳げ青い空 福山市立福山高等学校二年 池田 賢史
【評】鯉幟が折からの風で勢いよくおよいでいる。「およげ、およげ」と青空の鯉幟に声援をおくる心が伝わる。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
せみがなく朝の始まるアラームだ 尾道市立吉和小学校三年 鈴木  遥
夏の海太陽散らすミラーかな 尾道市立吉和小学校四年 桃谷 華子
アメンボの忍者の動き池に立つ 尾道市立吉和小学校六年 八塚  優
一小節鳴いたら休む法師ぜみ 尾道市立吉和小学校六年 安井 柚香
夏野菜日ざしに負けてかれていく 尾道市立三成小学校六年 岩崎 和騎
独りじめお風呂あがりのせん風機 尾道市立三成小学校六年 実政  樹
ぼんおどりたいこの音でむねおどる 大崎上島町立大崎小学校四年 文田 夏帆
天の川ねがいをかなえる空の川 坂町立横浜小学校四年 西井 太基
自転車と坂道くだる赤とんぼ 県立尾道北高等学校一年 新田美弥子
舌先に辛さ残して夏大根 府中市立国府小学校六年 住清 野羽
手の平の空蝉透ける原爆忌 府中市立国府小学校六年 薮本さくら
一瞬の輝き見せて散る花火 福山市立城南中学校三年 丸田 直樹
コップからしたたる滴涼しけり 福山市立城南中学校三年 三田 窓花
蝉の声くぐりて朝の墓参り 福山市立城南中学校二年 鞆川 慎一
一筋の軌跡残して舞うほたる 広島市立東原中学校二年 船川 結衣
リンリンとすずむし鳴くよナスの上 福山市立幸千中学校一年 岩本 海音
岩を割る音響くなり夏の波 福山市立千年中学校三年 鈴木 重丸
渇く喉祖母の梅酒が染み渡る 県立廿日市西高等学校三年 丸本 祐布

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
大茅の輪神の宇宙へ潜りけり 福山市 広川 良子
【評】茅の輪を潜れば、その向こうは神の世界である。無限に拡がる神の宇宙に違いないと感じ取った敬虔な句である。
蟻地獄神の日差の落ちこめる 福山市 早間 幸枝
【評】神域の或る所に蟻地獄を見つけた。小さな漏斗型じょうごがたに日差しが溢れている。それは神の日差しである。
太陽へ手を伸ばしては袋掛 福山市 佐藤 浩子
【評】桃か梨の袋掛けであろう。手を高くさし伸べる作業を「太陽へ」と詠んで詩的な新たな発見をしている。
正座して昭和涼しく語らるる 福山市 佐藤三重子
【評】折り目正しい翁であろう。扇を静かに使いながら昭和時代の貴重な体験を語られる様子を「涼しく」と纏めている。
成人の娘らに大雪とはなりぬ 福山市 毛利 秀子
【評】着飾った成人式の娘達に珍しく大雪となった。とまどいと若々しい仕種しぐさが想像され華やかな様が広がってくる。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
寝茣蓙売り余談ばかりに終始して 広島市 尾首美知子
父の日や遺愛の魚籠に花を活け 広島市 小川 文子
俑のごとふる里守る藁塚にほの群 広島市 吉岡 雅文
回天の発進基地や海月浮く 福山市 三好 一空
家を出る棺に軒の雪滴 安芸郡府中町 石橋 康徳
叩かれて選り分けらるる西瓜かな 福山市 内田 千年
玩具箱ひつくり返したる暑さ 福山市 山本 昭夫
玉音のまだ耳底に終戦日 福山市 佐藤 静枝
流れても流れなくても秋の川 福山市 岡ア  鈴
石舞台巡るまほろば梅雨の晴 広島市 宮下 慶子
孫の突く空手の気合赤とんぼ 福山市 三谷 和子
雨乞の心届かぬ旱かな 福山市 槙岡 弘恵
昼酒の海人の仮寝や青瓢 福山市 小林 聖二
発掘の遺跡を渡る秋の風 庄原市 矢崎 稔子
通りまで父が雪踏してくれし 広島市 山崎 華園
日盛の小溝に浸す大薬缶 広島市 川本三栄子
引分けの汗にまみれし決勝戦 尾道市 日田 富恵
ランドセル幾度も背負ひ春待つ子 福山市 小川 栄子