おばあちゃん

県立府中高等学校三年  石川 晴香

おばあちゃん
私が大好きなおばあちゃん
すっかり耳が遠くなってしまったおばあちゃん
あのね、おばあちゃん
私、おばあちゃんの家に電話をかけるのが苦手なのよ
おばあちゃんはよく名前を間違えちゃうから
「もしもし、おばあちゃん?」
「ああ、はるちゃん?」
ああ、よかった
だって私の名前を呼んでくれたから

おばあちゃん
おばあちゃんは覚えてるかな?
お盆のときに数珠玉を従姉弟たちといっぱい
集めておばあちゃんに渡したこと
次の日にお手玉になっててびっくりしたんだよ
みんなでいっぱい練習したんだ
私は家でも練習したんだよ
誰よりも上手になりたかったから
おばあちゃんに褒められたかったから
ちっとも上達しなかったけどね

ねぇ、おばあちゃん
私がお正月に必ず栗きんとん作って持っていく
意味知ってる?
毎年毎年おばあちゃんが美味しいって食べて
くれるからなんだよ
「母さんたちよりも上手、美味しい」
この言葉を聞くために毎年こりずに持って行ってるんだよ
母さんはもういいでしょっといってるけど
やめないよ
だっておばあちゃんに弟より、従姉弟よりも
沢山ほめてもらいたいから

おばあちゃん
私が一番うれしかったのはね
おばあちゃんも読書好きだって教えてくれたことなの
「はるちゃんは私によう似とるね」
この言葉で私、もっともっと本が好きになったんだよ

おばあちゃん
おばあちゃんは私が泣きそうなときいつだって
抱きしめてくれたね
怒られたとき つらいとき 悔しいとき
太陽のにおいのするおばあちゃん
今じゃ私のほうがおばあちゃんより大きくなったね
だからね、おばあちゃん
これからは
私がおばあちゃんをいっぱい抱きしめてあげるよ
ぎゅーってたくさんしてあげる
だから元気で長生きしてね
大好きだよ、おばあちゃん

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