けんみん文化祭ひろしま'17文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま'17文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【川柳】鴨田昭紀 選

【川柳】題「傷」 鴨田昭紀 選


※コンピューター環境で表示するため横書き表記としています。ご了承ください。

【特選】

作品 地域 お名前
どん底の傷へ夫婦の唄がある 大竹市 越智志な子
【評】人には言えない辛苦の傷跡はどの夫婦にもある。それを二人三脚で乗り越えて来たそれぞれのドラマがあるのだ。
傷ついたシャイなハートの青りんご 竹原市 田中 敬子
【評】思春期の心情を上手く捉えており爽やかな感じさえ伝わってくる。失恋や失敗は青春時代の勲章でもある。
古傷も生傷もある現在地 尾道市 小川 道子
【評】生きている限り誰もが幾多の傷を抱えている。時には一度立ち止まり振り返って見ることも必要であろう。
語り継ぐ原爆乙女たちの詩 江田島市 問可 圧子
【評】戦後七十余年、被爆の惨状を語れる人もみんな老いてきた。しかし決してヒロシマを絶やしてはならない。
傷癒えてバラ一輪の灯が点る 東広島市 上野 和子
【評】重荷であった傷がようやく癒えてきた安堵感がひしひしと伝わってくる。バラ一輪の灯に引き寄せられる。

【入選】

作品 地域 お名前
傷つけて傷つけられて弾む毬 広島市 羽城 裕子
卓袱台に家族揃って生きた跡 広島市 田邉 新一
傷ついた分だけ溜めている闘志 三原市 大森 昭恵
傷口を広げぬうちの妥協案 福山市 北村 善昭
傷口を見せてゆっくり午後のお茶 福山市 橋 泰女
一徹を通して付けた向こう傷 広島市 川上 咲良
青春の傷はレモンの香り立ち 広島市 荷堂てる子
傷ついた心へ母の愛の枷 尾道市 日谷  寛
今生きる傷のいにしえあかね雲 竹原市 山田榮次郎
戦争の傷痕癒えぬままに老い 広島市 木原 昌子
傷できた夫婦茶碗で老いの膳 尾道市 井上由美子
傷口をさらに広げる八つ当り 広島市 三谷 俊明
懺悔する心の傷を舐めながら 広島市 竹安 八朗
傷つける一歩手前で呑む台詞 尾道市 半田 知弘
残り火で心の傷を燃やしきる 三次市 錦  武志
傷口に触れてはならぬのど仏 広島市 吉川 徳子
傷ついた過去に寄り添うセラピスト 廿日市市 奥村 吉風
生傷の絶えぬ地球の平和論 尾道市 村上 和子
傷心の四百四病を島遍路 竹原市 菅  弘子
傷跡を語れば尽くせない昭和 福山市 津 幸雄