けんみん文化祭ひろしま'20文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま'20 文芸祭 入賞・入選作品発表 【俳句】川崎益太郎 選

【俳句】川崎益太郎 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
夏休みスマホはまるでブラックホール 福山市立城北中学校二年 森ア 心音
【評】欠かせない存在のスマホ。しかし、裏で、ブラックホールのような地獄が潜んでいる、という警鐘の句。
あじさいのライムライトと人の性 比治山女子高等学校二年 熊谷 莉帆
【評】「ライムライト」は、名声・評判の意。人間は、性として、名声等を気にするが、紫陽花は、違うという斬新な句。
風鈴に風が言葉を教えてる 尾道市立吉和小学校六年 島谷 有里
【評】風鈴は風に揺らされて音を出すが、これを風が風鈴に言葉を教えていると捉えた斬新な句。音を言葉にしたのも上手い。
冷奴角につかまる鰹節 呉市立呉高等学校三年 上甲 奈津
【評】冷奴に鰹節は付き物。それを、鰹節が冷奴につかまえられたと表現した斬新な句。かどを、つのとしたのも面白い。
太陽の残り火こそが残暑なり 府中町立府中小学校五年 竹林 蒼真
【評】残暑を太陽の残り火と捉えた面白い句。言われて納得の句。違うと反論できないところが憎い。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
キキョウ散る体育館裏午後三時 比治山女子高等学校二年 岩本美羽音
紫陽花が雨の絵の具で光ってる 東広島市立吉川小学校五年 山ア菜々子
一日の多情多恨と髪洗う 県立尾道北高等学校一年 藤井 航平
風鈴や揺れる前髪目を閉じる 庄原市立西城中学校三年 城田 真夢
太陽がアイスクリームなめていく 尾道市立吉和小学校四年 竹谷 海音
夏休みコロナ休みで休みなし 並木学院福山高等学校二年 橋本 凌伽
田んぼからびっくり箱の雨蛙 府中市立上下北小学校六年 井上 蒼空
この夏は五輪金よりコロナ菌 呉工業高等専門学校一年 小林  優
青リンゴぼくのグーより育ってる 東広島市立吉川小学校二年 西本  紡
つばめのすかえってこないなぜだろう 福山市立宜山小学校一年 青山 莉子
「生きる」こと考える春空仰ぐ 庄原市立庄原中学校三年 大歳 未來
かぶと虫こうびするためたたかうよ 大竹市立小方小学校五年 片山 湊太
紫陽花や街にあふれる傘のよう 比治山女子高等学校二年 久保田未来
食べごろのおしりのわれたいちじくだ 東広島市立吉川小学校二年 黒川 期心
新学期最初の言葉は「君の名は」 県立可部高等学校三年 長友 陸人
新学期いきなり休みくやしいよ 福山市立宜山小学校四年 守屋  樹
蚊に刺され気付かず増える爪の跡 県立三原高等学校一年 西尾 悠伸
息白しぽっけにはいる2人の手 熊野町立熊野東中学校三年 中村 幸歩
さようなら会ったばかりの夏休み 福山暁の星小学校六年 林  薫子
「ちょっとだけ」五ミリちぎった草の餅 呉工業高等専門学校一年 吉本  律

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
合歓咲けりまり子は子等と空の旅 東広島市 佐々木房子
【評】宮城まり子は、子どもの障害施設「ねむの木学園」の創設者で、今年三月逝去。天国でも子等と旅をしている。
鈍色の廃炉の鉄扉冬銀河 三次市 前原 俊五
【評】原発の廃炉には、気の遠くなるような歳月と金額を要する。「鈍色・鉄扉・冬銀河」が、全てを言い尽くしている。
廃屋にキネマポスター島は秋 広島市 下田あつ子
【評】廃屋に昔の映画ポスター。「キネマポスター・島は秋」の取り合わせが、ぴったり。映画館が廃屋とも読める。
原爆忌核廃絶の風ぬるし 呉市 合田 淳子
【評】被爆七十五年。核廃絶を求める願いに対する政府の反応は鈍い。いつ、ぬるま湯から抜け出ることが出来るのか。
尻半分出して砂場の小春かな 広島市 石田みつ子
【評】一瞬ドキリ。砂場とあり安心。幼児が砂場で遊んでいる様子を、ユーモラスに表現。季語も微笑んでいるようだ。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
夫婦でも柩は別に草の花 広島市 星加 鷹彦
コロナ禍の恐れの中の原爆忌 広島市 岡田 郁枝
松手入れこれで好いかと松に問ふ 竹原市 久保 政子
水厭ひ水に感謝や稲実る 庄原市 山ア 靖子
夏雲のどんどん変はる主人公 三次市 林  章子
畳替足をくすぐる青さかな 府中市 小林 鈴江
半襟の白きはだちて春日傘 呉市 上野 芳江
父さんと声をかけたき案山子の背 三次市 渡里トモ枝
日々自粛土筆の袴ゆるりとる 東広島市 森川 慶子
闇を呼ぶ荒き舞踊や蚊喰鳥 広島市 篠原 新治
秋ざくら手話に早口あるらしく 福山市 林  すみ
十薬の効き目臭はせ軒を占む 三次市 林  勝子
青梅の一粒づつにある重み 福山市 戸原 澄清
くちなしの錆や衰微のネオン街 尾道市 小滝 凡人
ひい孫の祝ひをしたぜ七五三 広島市 河野 正義
きつぱりもあいまいもよし帚草 福山市 山本 豊子
桐の葉がはらり一枚孤独噛む 庄原市 林  武志
食べ尽す葡萄一房人骨図 広島市 若宮  實
引くを待ち満ちて終はりし潮干狩り 広島市 福永 將來
子の網の堰に漂ふ晩夏かな 呉市 野津山エツ子