けんみん文化祭ひろしま'20文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま'20文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【短歌】新宅道和 選

【短歌】新宅道和 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
カランカラン夏が始まる音がした僕の両手に二本のラムネ 県立広島国泰寺高等学校二年 北殿 智一
【評】両手に持ったラムネの音を「夏が始まる音」と表現した。全体的に無駄がなくリズムの良い青春の歌。
小瓶には想いと涙をつめこんで見えないように海へ投げ込む 県立府中高等学校三年 重廣 樹里
【評】青春には喜びとともに辛いこともたくさんある。次からは小瓶を海に投げず、短歌を詠もう。短歌に詰めよう。
疲れてる父にねだった肩車夕日がずっと近くに見えた 県立三原高等学校一年 淺井 未悠
【評】子どもに肩車をせがまれたら大抵の父親は疲れていても拒まない。物理的にはあり得ない下の句の表現がよい。
十一になる弟と二人だけせがまれつくる夏野菜カレー 県立尾道北高等学校一年 福井 心晴
【評】兄弟か姉弟か、弟を面倒と思いながらも夏野菜カレーを作ってやる作者。二人の微笑ましい情景が目に浮かぶ。
こんだんの明るい空気をおしのけて伝えられるはテストの結果 福山市立福山中学校二年 橋本  凌
【評】三者懇談あるある。日常生活のことなどを話しながらも三人の頭にあるのは成績のこと。そして懇談は核心へ。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
雷鳴が聞こえふと空見上げれば目に雨粒が一粒入る 福山市立福山中学校二年 天野 連人
炭酸水はじけるように笑ったな図書室前のグレーのソファーで 庄原市立庄原中学校二年 宮木日菜子
高校に入って初めて呼ばれた名自分と分からず無視した数日 県立三原高等学校二年 福田 悠太
同じ組一度もなれず旅立つ日ページ違いの隣に並ぶ 県立尾道北高等学校一年 森本 夏海
テストの点上がらないとは思いつつさがしてしまう先生のミス 県立広島国泰寺高等学校二年 久保田ひかる
雨の中激しい波に逆って魚の群れが空飛び回る 広島国際学院中学校二年 島津 貴士
週二回塾帰りに買うハッシュポテト一人静かにゆげとただよう 県立三原高等学校二年 新田 祥平
日の光差し込む窓辺にカーネーション「いつもありがと」口には出せない 庄原市立西城中学校二年 柳生まどか
夏休みすぐに終わった悲しさとすぐ君にまた会えるうれしさ 県立広島国泰寺高等学校二年 村川 拓斗
思い込め重たいカバンにチョコ詰めた帰りのカバンは重さ変わらず 廿日市市立阿品台中学校二年 阪部 裕里
いつからか君は土足で平然と僕の心に踏み込んできた 庄原市立庄原中学校三年 松本 梨乃
あこがれの君と直接話す時マスクで隠す隠せぬ思い 県立尾道北高等学校一年 藤井 航平
涼感が溢れる部屋の扉開けパスポートなしで熱帯アジアへ 県立尾道北高等学校一年 白須 由美
サンタさんよい子のところに来るんだよよい子じゃないと来ないのかなあ 庄原市立高野小学校五年 藤永  彰
弓道場腹赤くして床はう蚊誰かと思えば自分じゃないか 県立三原高等学校一年 熊田  耀
炊きたての米一粒が美しい例えるならば川の輝き 三次市立甲奴中学校三年 宮地 凌汰
来ましたよついにいとこの反抗期でも知っている優しい笑顔を 庄原市立西城中学校二年 加藤 夢美
びっしりとひまわりのたねつまってるかぞえていたらねむたくなった 庄原市立東小学校一年 岩ア  薫
フェンスごしアイツのことを見つめるの太陽だけが知ってるひみつ 県立三原高等学校二年 沖 なつは
午後10時グループ通話で待機中今年の花火は手のひらのなか 県立尾道北高等学校一年 下廣 遥斗

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
うす紅のコスモスのやうひらひらと少女二人の手話は舞ひたり 福山市 林 スミ子
【評】山口百恵の「秋桜」の歌詞を借りて手話をする少女たちを描写。少女たちの様子が見えてくるようです。
咲きほこる過去は過去です廃屋のバラ雑草と生きてゆく術 尾道市 新川 政子
【評】バラという植物は意外に強い。特に自分のことを暗示させたわけではなく、素直に廃屋に咲くバラを描写した。
ひたむきな君の視線に負けぬよう声張り上げる夏の教室 東広島市 野田 和映
【評】今年は八月のうちから二学期が始まった。生徒たちも大変だが、先生はもっと大変。先生たちに頭が下がる。
甲子園守備練習のノッカーは七分間をていねいに打つ 呉市 徳増 龍雄
【評】高校野球の試合前短時間で行われる守備練習のノッカーの方に照準を当てた。「七分間」が効いている。
「黒い雨」降りしは何時いつか晩夏熱黒ずみて垂る向日葵ひまはりの群 呉市 山本 敏治
【評】黒ずんで頭を垂れている向日葵から「黒い雨」を連想した。何時かとしたことでかえって現在に引付けられた。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
車椅子はいがいに難し猫のごと片手で顔を撫であらいたり 庄原市 寺迫 隆子
なっとうを百回こねる夫いて幸せだったその待つあいだ 三原市 大森 昭恵
万葉の人らの食した草々を令和の春の畑でぬきおり 三次市 眞丸 利子
夏の夜は幾度も目覚め短編のアンソロジーの如き夢見る 広島市 堀  眞希
走り梅雨青葉の匂いめぐらせて草抜きしはた黒く染め行く 広島市 種村 明雄
石積みの棚田突っ切る初燕お帰りなさい里山の春 広島市 三谷 俊明
雪の朝路上に残る靴跡に添いて付きたる犬の足あと 広島市 周藤  武
なでしこの花踏みしだく子猫らを見つつ喪服に袖を通しぬ 安芸高田市 井上  愛
衝立とフェイスシールドに阻まれて顔もおぼろな医師にもの言う 福山市 若林美知恵
コロナ禍に心の糸を解きくるるマスク美人のぬかは汗せり 広島市 日野 幸吉
ゆっくりとさき歩巾で進む日は脳の回路に新しき風 広島市 川上 咲良
スマホ見てあっという間に時間経つ周りが速いか私が遅いか 呉市 畠  和史
「ヒロシマ」と呼ばれ広島に生き続け、ヒロシマをはず母は逝きけり 広島市 小野 系子
紅葉がり散歩にしては遠すぎる車で行けば酒が飲めない 広島市 池田美知子
番犬の食器転がす星月夜猪でも出たか遠吠え続く 庄原市 新宅 涼枝
生命いのちつなぐ輸液のしづくきらめくを現実うつつにもどる視野に収めつ 広島市 井上 宝護
コロナ禍に米寿めざして生きゆかむ未知の世界の自分探しに 広島市 石丸 一司
一段と音量あげる蝉時雨生中継でお届けします 広島市 羽城 裕子
星を買ふここちにゐたり山峡の夜空にひかる粒の大きさ 安芸高田市 小山美惠子
東京へ帰る電車の窓際へ座る孫らとグータッチする 呉市 熊川 勝彦