けんみん文化祭ひろしま’16文芸祭
トップページ けんみん文化祭ひろしま'18文芸祭 文芸祭 入賞・入選作品発表 【俳句】木村里風子 選

【俳句】木村里風子 選


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小・中・高校生の部【特選】

作品 学校名 お名前
旅おわり線路の上の赤とんぼ 福山暁の星小学校五年 松本 結衣
【評】旅が終り駅に下りると線路の上に赤とんぼが。旅の疲れを癒してくれているようである。
夏になる広島の日近づくよ 大竹市立玖波小学校六年 倉本 瑠那
【評】広島の夏は原爆の月、夏になると必然的に原爆想起となる。現在の子供達にも歴史は伝わっているのである。
踏切で揺れる陽炎汽車通る 福山市立福山中学校三年 羽原 涼太
【評】踏切で陽炎が揺れ、麗かな景の中を又、汽車が揺れて通ったのである。暖かい春の景色である。
子規の声聴かんと背伸びす牡丹かな 呉工業高等専門学校一年 新浜 貴翔
【評】子規堂へ行く、文献は多いが声はない。声を聴きたい強い願望が自分を牡丹にして背伸びした。さて、声は。
螢火が微かに照らす水の波紋 呉工業高等専門学校一年 田村真理彩
【評】螢の明滅する明かりに水の波紋が見えたのであり、繊細な見方である。

小・中・高校生の部【入選】

作品 学校名 お名前
赤とんぼ夕やけ空となかよしね 廿日市市立金剛寺小学校三年 なべしま春音
ししおどし僕のすいかをとらないで 府中町立府中北小学校三年 日高功太郎
シャッターを押す手が止まる花吹雪 尾道市立吉和小学校六年 木村 莉久
おこしだねていた土地つちが目をさます 福山市立御幸小学校六年 M田 咲良
夏の蝶光あびれば大舞台 福山市立誠之中学校三年 國本 遥生
方程式数字で埋もれた夏休み 盈進中学校一年 繻エ 陸玖
七夕に平和を祈る文字光る 呉市立倉橋中学校一年 中森 匠望
炎天に土砂をかき出しボランティア 広島大学附属三原中学校二年 宇根 志保
太陽も月もない空咲く花火 尾道市立栗原中学校三年 福島 陽菜
戦争で十四の子が何人死んだ 銀河学院中学校二年 福田 汀紗
朝一番氷柱が光る軒を見る 福山市立中央中学校二年 山吹 州生
色のないこの道に咲く彼岸花 県立三原高等学校一年 落合 栞奈
金魚すくい大きな瞳見る先は 比治山女子高等学校二年 上中 美佳
夏の夜駅のホームに響く咳 呉工業高等専門学校一年 伊田  遼
せみの声どこへ行ってもついてくる 呉工業高等専門学校一年 花田 哲太
鳴らしても消えぬ煩悩除夜の鐘 呉市立呉高等学校一年 中岡 陽菜
川流れ浅きところに鮎光り 県立三原高等学校一年 安部菜月美
帰り道振り返る今日汗ぬぐう 呉市立呉高等学校三年 中島 優里
車からふと外見れば雲の峰 銀河学院中学校二年 藤岡 あや
見上げれば雲が夏を描いている 銀河学院高等学校二年 京山さやか

一般の部【特選】

作品 地域 お名前
自転車の錆のにほひや原爆忌 広島市 熊谷  純
【評】原爆資料館に被爆した三輪車が展示してあり、錆の匂いに当時を思い出したのである。
豪雨去り見知らぬ地かと立ちすくむ 広島市 佐伯 永世
【評】七月豪雨は異常であった。避難先から帰って見ると、これも異常であり、今まで住んでいたと思えない惨状。
鳥渡る土砂災害の町掠め 広島市  池田 萩邨
【評】鳥渡るは、秋になって渡ってくる鳥であり、土砂災害の町を掠めたのであろうが鳥の目にどのように写ったか。
造船の町鉄色に梅雨降れる 福山市 坂田 尚子
【評】受注不況の造船業界の姿である。町も、折からの梅雨の雨も鉄色に感じられたのである。
里神楽鬼出て祖母が孫庇ふ 庄原市 河戸 靖子
【評】一読、祖母が孫を抱き、鬼から庇っている姿が見える。鬼は面白がっているが、泣き顔の孫は真剣である。

一般の部【入選】

作品 地域 お名前
途絶えたる鉄路に葛の及びけり 広島市 下田 敦子
灼けゐたり鉄の匂ひにたたら跡 庄原市 稲垣サカエ
夾竹桃どの橋渡るも爆心地 広島市 林 たかし
運休の長き鉄路や晩夏光 東広島市 山田美佐子
草茂るのみ廃校と廃屋と 呉市 伊藤千賀子
去ぬ燕書庫に遺さる子の癖字 広島市 平原 君枝
土砂未だ残れる町や蝉時雨 呉市 浅原 慧子
月見草錆びたる音に開く門扉 呉市 植田トモ子
出水急土砂覆ひたる鉄路かな 福山市 小林 洋子
山雨来る寺の池塘に水芭蕉 広島市 野呂 天風
日ぐらしや売地に残る井戸一つ 江田島市 江口 信子
断たれたる鉄路に草の茂りかな 広島市 藤谷 知子
ふところは程好く貧し小判草 広島市 煙石  博
叱られて金魚に愚痴る子供かな 福山市 久保 紘子
画用紙につぎ足して描く桜鯛 広島市 天野  泰
養生の陶土の湿りちちろ虫 安芸郡府中町 有田 照美
接岸し水吐く巨船雲の峰 広島市 嶋治久美子
正月の歯ブラシ残し子ら帰る 広島市 居升 典子
薫風に牛の産声谺かな 尾道市 向井喜美子